理事長あいさつ

トップページの「私たちの想い」にありますように、職住接近で働ける社会、ＩＴ（情報技術）が人々の生活に活用される社会を目指して、私たちの活動は始まりました。
　20世紀、日本は東京都心部に社会経済機能が一極集中し、多くの長距離通勤者を首都圏に生みました。集中・集積することは効率化という視点では意味がありました。しかしこの一極集中は、都心部の交通渋滞や通勤ラッシュという弊害を生み出しました。一方、周辺部ではベッドタウン化に伴い、経済的に自立性の低い地域を創り出していきました。
　私たちの住む、埼玉県中央部はこのような地域の典型的なもので、地域への帰属意識の低い通勤者は「埼玉都民」と呼ばれるに至りました。通勤に要する時間は往復で３時間に及び、肉体的な負荷と時間のロスは計り知れないものがあります。さらに、当人たちの問題ばかりでなく、地域に男性保護者が不在であることは、子どもたちの教育という面からも望ましいものではありません。
　20世紀末になって、情報通信技術が長足の進歩を遂げ、社会に、そして私たちの生活に大きなインパクトを与え、変化をもたらしました。その変化の一つが、ＳＯＨＯ的なワークスタイルの出現です。コンピュータプログラムやグラフィックデザイン、あるいは企画書や報告書など、デジタルデータとなって、通信できる成果物を生産することができる人々は、必ずしも長距離通勤をしなくても仕事ができる環境になったのです。
　私たちの活動はこのような社会の変改に呼応して、長距離通勤者の増大がもたらした社会的な弊害を、少しでも是正していくために、ＳＯＨＯ事業者がネットワークを形成し、情報交換と相互補完しあい、大きなプロジェクトの受注のための受け皿となることを目的としています。また、このような変化をもたらした情報通信技術を社会に普及させることが、ＳＯＨＯ事業者の活躍の場を増大させるであろうと考え、ＩＴ普及をも当ＮＰＯの目的と位置づけています。
　まだまだ、小さな組織で試行錯誤を重ねている段階であり、はっきりとした展望は拓けていませんが、今後も創意工夫を重ね、理念の実現を目指していきたいと思います。